天文 −星座を見つけよう(夏編)− 夏の星座を見つけるコツ


星座を見つける基本は、明るい星を探すことです。夏の夜空で1番明るい星と言えば、純白に輝くこと座のα星「ベガ(Vega)」でしょう。また、見つけやすく明るい星といえば、南の低い空に赤く光るさそり座のα星「アンタレス(Antares)」が目立ちます。夏の夜空は、これらの星を出発点に星座めぐりをはじめましょう。

なお星座写真は、市街地で見た夜空を想定して画像処理し、同じ倍率で表示しています。上が北(北極星)の方向になります。


こと座 (Lyra、Lyr)
7月中旬なら22時少し過ぎ、8月中旬なら20時少し過ぎが見つけやすいでしょう。頭の真上を見てください。白く輝く明るい星が見つかると思います。それがこの星座のα星、「ベガ(Vega)」です。この「ベガ」から南東方向にちょっとだけ視点を移すと、平行四辺形が見つかりませんか?そのうち、「ベガ」に近い1つはやや暗いので見つけにくいかもしれません。この平行四辺形と「ベガ」でこと座が出来ています。
ギリシャ神話では、ヘルメスによって作られ、楽人オルフェイスが所有する琴とされています。
この星座のα星の名前「ベガ」とは、アラビア名で「舞い降りるワシ」という意味です。日本では、この「ベガ」が七夕の「織女星」または「織り姫星」と呼ばれていることは言うまでもありませんね。

わし座 (Aquila、Aql)
まず、こと座の「ベガ」を見つけてください。そこから、南東方向に視点を移動させてください。腕を伸ばして、握りこぶし4個分ほど視点を移動させると、わずかに黄色みを帯びた明るい星が見つかりませんか?これがわし座のα星「アルタイル(Altair)」です。「アルタイル」を交点とするTの字が見つかれば、それがわし座です。
ギリシャ神話では、ガニメードをさらってオリンポスへ運び、神々の召使いにしたというワシとされています。
この星座のα星の名前「アルタイル」とは、アラビア名で「飛びかけるワシ」という意味です。日本では「アルタイル」が、七夕の「牽牛星」または「彦星」と呼ばれていますね。

はくちょう座 (Cygnus、Cyg)
ここでも、こと座の「ベガ」を見つけることからはじめましょう。「ベガ」から、北東方向に視点を移動させてください。腕を伸ばして、握りこぶし2つ半ほど視点を移動させると、クリーム色を帯びた明るい星が見つかりませんか?これがはくちょう座のα星「デネブ(Deneb)」です。「デネブ」を交点とする大きな十字が見つかりましたか?その十字が南の方向に首を伸ばし翼を広げた、はくちょう座です。「デネブ」のあたりは、白鳥のおしりでしょうか。くちばしのあたりにあるやや明るい星は、「アルビレオ(Albireo)」とよばれています。これを望遠鏡(小型のものでもOK)で見ると、オレンジ色の星にブルーの星が寄り添っているのがわかります。このように、肉眼では1つの星に見えるのに望遠鏡で見ると2つ以上の星に分離して見えるものを、「重星」といいます。「アルビレオ」は、「重星」のなかでもっとも美しいといわれ、色の対比は見事です。双眼鏡でも注意深く観察すれば、分離しているのがわかるでしょう。
ギリシャ神話では、太陽神の子フェートンが、日の車をあやつりそこね墜落死したのを友人が嘆き、フェートンを白鳥にして天に移したとされています。
この星座の星の名前は、アラビア名で「デネブ」は「尾 」、「アルビレオ」は「鳥 」を意味しています。七夕物語では、「デネブ」が「かささぎ」にあたることご存知でしょうか。

さそり座 (Scorpius、Sco) 適当な星座写真が見つかりません。天気が良くなったら撮影します。

南の空の低いところをながめてみると、赤く輝く明るい星がみつかりませんか?7月中旬なら21時ごろ、8月中旬なら19時ごろには、ほぼ真南にあるあるはずです。それが、さそり座のα星「アンタレス(Antares)」です。そのあたりをながめてみると、腕を伸ばして握りこぶし3個分ほどの、右に傾いた大きなS字が見つかりませんか?それが、尾を曲げたさそり座です。ちょうど「アンタレス」がさそりの心臓の位置にあたります。
ギリシャ神話によれば、このさそりはオリオンを毒針で刺した罰として、天球上でオリオンの正反対の位置に追いやられたとされています。
この星座のα星の名前「アンタレス」とは、ギリシャ名で「火星に対抗するもの」、「火星の敵」という意味です(ほぼ2年に1度、火星がこの星に近づき、その赤さを張り合うように輝くところから名付けられたでしょう)。ちなみにアラビア名では、「カクバラクラブ」とよばれ、「さそりの心臓」という意味になります。


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