旅行 − マウナ・ケア −


中央が「すばる望遠鏡」
標高4205mでハワイ諸島の最高峰。
日本の国立天文台が設置した「すばる」をはじめ、世界の名だたる光学望遠鏡・電波望遠鏡がその山頂を賑わしている光学天体観測の最前線でもある。
天気が良ければ、ヒロ市内からでもマウナ・ケアの山頂に輝くドームを見ることができます。
ホノルル−ヒロ間の飛行機の南側の窓からも眺めることができます。

マウナ・ケアへは、ヒロとワイメアやワイコロアを結ぶサドル・ロード(200号線)を利用します。少なくともヒロからは路面状態もよく快適なドライブが楽しめるのですが、サウス・ポイント・ロード同様にレンタカーでの走行は保険対象外となっています。サウス・ポイント・ロード以上に交通量も少ない上に距離が長いので、トラブルが発生したときの対処は大変かもしれません。
サドル・ロードを分岐して山頂をめざす登坂路も途中には未舗装部分が続き、勾配が17%に達する部分もあります。標高2800m付近にあるオニヅカ・ビジター・センターまでは普通の車でも行けますが、ここから先は4WDでギアを落として登らねばなりません。登りではオーバーヒート、帰りの下り道ではスピードの出しすぎ・ブレーキのフェードなどのトラブルは少なくないようです。下りの途中でタイヤがバーストして動けなくなった車が戒めるかのように放置してあります。いざとなれば新車1台分の補償金を払う覚悟がない限りレンタカーでの移動はおすすめしません。どうしてもというのであれば、少なくともガソリンは満タンにして慎重な運転を心掛けましょう。道中ガソリンスタンドは1つもありません。
サドル・ロードから見たマウナ・ケア
緑色のところはすべて牧場らしい
やはり現地ツアー会社が主催するマウナ・ケア山頂ツアーに参加して、山頂をめざすのが無難でしょう。ヒロやカイルア・コナを午後3時頃出発し、山頂で夕日を見てたあとオニヅカ・ビジター・センターまで戻り、午後7時から天体望遠鏡での天体観望を楽しむものです。カイルア・コナ発のツアーは日本で手配できますが、ヒロ発のツアーもあるようですので宿泊したホテルで聞いてみて下さい。
マウナ・ケア山頂をめざす登坂路に入ると、その両側は牧場になっています。ここだけではなく、マウナ・ケアを取り囲むように牧場が広がっており、そのすべてが個人所有として世界最大規模のパーカー牧場だそうだ。見渡す限り草原で畜舎などは見当たらないので、ここで草を食んでいる牛たちは完全な放し飼い状態らしい。
しばらく進むと勾配も少しずつ大きくなり、周りの風景も荒れ地に変わって行きます。サドル・ロードとの分岐点から6マイルほど進むと海抜2800mに達し、オニヅカ・ビジター・センターに到着します。ここは、マウナ・ケア天文台サポート・サービスという非営利団体によって運営されているそうで、マウナ・ケアの紹介のほか、おみやげ品など売っています。有料(50¢だったと思う)で暖かいコーヒーなども飲めます。4000mを越える山頂をめざすならば、薄い空気に慣れるためにここで30分以上休息を取ることが求められています。
ビジター・センターで購入できるステッカー
休息を充分に取ったら、山頂まで約6マイルの道を進みましょう。ここから勾配はさらに大きくなります。オニヅカ・ビジター・センターのすぐ上に、マウナ・ケアの山頂で観測を続ける天文学者のための宿舎があります。ここを過ぎると未舗装路となり、4WDでローまたはセカンドギアにして進みます。乾燥しており土ボコリが舞立って視界が悪くなるときもあります。ところどころに道路整備の作業車が走っていますから、一層慎重な運転が必要になります。

オニヅカ・ビジター・センターから先はこんな道
標高3500mあたりから見たもう一つの高峰マウナ・ロア
再び舗装路が現れれば、山頂まであとわずかです。やがて、小さな(マウナ・ケアの中では)のドームが見えてきます。これが最初(1969年)に作られたハワイ大学の0.6m望遠鏡のドームです。青い空に映えて輝くドームを眺めて車を進めることができます。山頂の各天文台については、ハワイ大学のマウナ・ケア天文台紹介HPをごらん下さい。各望遠鏡ドームのWebsiteにもリンクしています。
一番手前がハワイ大学の0.6m望遠鏡
舗装路の途切れるところにある双子のドームは、アメリカのケック天文台(KeckT・KeckU)です。このうちKeckTにはビジターエントランスがあり、ガラスブースの中からドームの中を見学できます。訪問時は、副鏡の交換を行なっていました。このほか登坂路の途中にあったハワイ大学の2.2m望遠鏡のドームにも見学スペースがあるそうです。

「すばる」の方から見たケック天文台 手前がKeckT
KeckTの望遠鏡 水平になっており左側が主鏡
ケック天文台から先は再び未舗装になっていますが、すぐ先に日本の「すばる」があります。青く輝くドームが目に鮮やかです。生半可な説明はいらないでしょう。国立天文台の「すばる望遠鏡」サイトをごらん下さい。今年末から始まる第一期共同利用観測の成果に期待しましょう。また、すばるドーム内の一般見学も可能になっています。上記サイトを参照してください。

マウナ・ケア山頂の「すばる望遠鏡」ドーム
山麓施設と呼ばれるヒロ市内のハワイ観測所
山頂の気温は真夏の日中でも10℃前後、日没後はさらに気温が下がります。また昼夜の別なくいつも風速数mの貿易風が東方向から吹いており、体感温度はさらに下がりますから、冬支度があったほうがいいでしょう(ツアーに参加すれば防寒具を貸してもらえます)。湿度は5%以下で非常に乾燥しています。低湿度は天体観測には好都合なのですが、身体への負担は大きいそうです。出発前に充分な飲料水を確保しておきましょう。また気圧も600hPa程度で地上の60%しかありません。酸素の量も地上に比べ40%少ないわけですから、息苦しさを感じます。人によっては頭痛がするなど高山病の症状があらわれ、治療が必要な場合があります。オニヅカ・ビジター・センターまで来て、少しでも気分が悪くなったら山頂へ向かうのは避けた方がいいでしょう。

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